『クリスマスの約束』
どうしてこんなに早く来てしまったのだろう?ユリは後悔した。何しろ寒い。いくら楽しみだからって、待ち合わせの30分前に来るのは無謀だった。そう思っている間にも体は冷えていく。いつの間にか粉雪が舞っていた。ユリは泣きたかった。冷えた空気が高揚した気分を冷まし、自分のことが馬鹿らしく思えてきたからだ。そして何より寂しかった。浮かれていたのはただ自分ひとりの気がした。 「私・・・バカだなぁ・・・」
今日はクリスマス。奇跡が起こってもいいはずなのに。現実が容赦なく彼女の体に吹き付ける。
いくら待っても待ち合わせの10時にはならない。もう1時間は経った気がするのに、時計はまだ9時45分を指している。 |