目を細めたくなるほど日差しがまぶしい初夏のある日。上白沢慧音はいつものように森の中にある高い松の木の枝に腰掛けて人里の様子を眺めていた。
幼い子供達は木の枝を振り回して走り回り、大人たちは畑仕事や家事など、穏やかな日常を営んでいた。世は事も無く是平和――
ともいかなかった。耳を劈くような悲鳴が里のほうから響き、慧音は危うく枝から転落しそうになった。
「(妖怪か?)」
落ちかけた伝説の弁当箱帽を直し、人里のほうに目を向けた。そして脱力した。必死に逃げ惑う里の人々には申し訳ないが、
そこには―――
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